生徒会100話
資料を読むのを止めて、あたしは背伸びをした。言っておくけど、あたしは文化祭が大嫌いだ。あ、これはちょっと文化祭担当会長補佐としてまずい。言い直さなきゃ。真面目な文化祭が大嫌いだ。去年の文化祭とかは、あんまりつまらないから欠席してた。でも、…
もう7時か。僕は生徒会室の時計を見た。各担当毎、役員の机が島を作っている生徒会室。残っていたのは僕だけ。財政係はこの時期が一番忙しい。予算大会と呼ばれる、予算委員会への原案づくりがあるからだ。各部活動から上がってくる予算要求書に目を通し、…
うちは屋上が好きだ。本当は入ってはいけないところだけど、グランドの部活写真を撮るために上がったときから、お気に入りの場所になった。「生徒会広報です!屋上から写真取るんで。」と職員室で言うと、割合簡単に鍵を貸してもらえる。まっさらな青空の下…
生徒会生活企画課内に、あいさつ係という係がある。朝、誰も生徒がいない間に登校し、昇降口に立って、登校してくる生徒にひたすらあいさつをくり返す。そんな拷問みたいな係に配属されたのが、このオレ。去年まで、ゆっくり寝坊して、遅刻ギリギリで滑り込…
「部長、入場まであと5分です。」 式典係長の江尾野香織が私に耳打ちした。 体育館後部のギャラリー。体育館全体を見回せる位置に、私と香織の席があった。席と言っても、固いパイプ椅子でしかないのだか。既に保護者、来賓は席に着き、新入生の席の群れが…
「せ、せんぱい、す、好きです。」 あたしが、先輩を見上げてそんな言葉を言ったら最後、強烈な光で目がくらんだ。 「あ、朝だったんだ。」 まだぼんやりしている頭を振ってベットから立ち上がる。カーテンの合わせ目から、朝日が差し込んでいた。カーテンを…